この物価高(令和7年3月現在)もあり、増えている相談のひとつに「賃料の増額請求を受けた」というものがあります。
このような場合に、賃借人としてはどのように対応するとよいでしょう。
借地借家法32条1項に、増額請求をすることが出来る要件が記載されています。
しかし、あくまでこれらは例示です。
端的に内容を言いますと、それまでの賃料を維持することが不相当になった場合は、賃貸人は増額請求ができるということを意味します。
そして、この増額請求は、意思表示が賃借人に到達した時点で、適正賃料まで増額する効果があります(形成権)。
では、賃借人としては何もすることは出来ないのでしょうか。
賃貸人の請求が適正賃料でしたら、その増額した賃料を支払わなければなりません。
しかし、適正賃料が不明であり、両者の意見が食い違い賃借人が納得しない場合、賃借人は取り敢えず今までの賃料を法務局に「供託」することで足ります。
そして、ゆっくり話し合いをしたり、裁判所を使って調停をするなどして適正賃料を決めていくことになります。
なお、話し合いがまとまらない場合は、賃貸人としては、先ず裁判の前に調停をする必要がありますが(調停前置)、これがなかなか簡単には増額できません。
そのことも考慮して両者動くとよいでしょう。
なお、「供託」とは、この場合は元々の賃料額を法務局に「取り敢えず預ける」ことのイメージです。
供託をしておけば、取り敢えずは債務不履行責任を免れることが出来ます。